民族文化研究会会報『大八洲』第5号(2025)が8月1日付けで発行されました。同会報は、同会に申し込めば誰でもメールでPDF形式で送ってもらうことができます。
今号は、半木糺「とある旧ソ連人記者の日本人論」、同「曽和義弌『日本神道の覚醒』を読む」、竹見靖秋「近代の心学講社」と、連載・竹見靖秋「祭神論争の過程【4】」の4本が掲載されています。
「祭神論争の過程」は相変わらず読みやすい感じで、鴻雪爪ッッ!!と思えてしまいます。
今回注文なのは、竹見靖秋「近代の心学講社」でしょう。石田梅岩という江戸時代の思想家に始まる心学は、その弟子たちにより大名・旗本から庶民に至るまで普及しており、かつ今も企業経営者らにより修養として取り入れられていることで知られています。この論考は、この江戸時代から現代までの間に心学に関わった人々の足跡を明らかにするものです。宗教的であり道徳的でありという心学は、まさに政府の方針によって宗教とされたり道徳団体となったり、(今や忘れられた単語である)教化に利用されたりと、様々な転変を経ていたことが明らかにされています。教派神道との関連として大成教禊教との関わりは聞き知っていましたが、その他にもいろいろな経過があったのですね。
例えば教派神道の一つ実行教の分派であり教育勅語奉賛団体であった大日本実行会なんかのあり方を考えてみても、改めて道徳・教化と教派神道含む宗教との関わりを考える必要があると感じました。
半木糺「曽和義弌『日本神道の覚醒』を読む」もその独創的な神道「革命」思想が興味深く、『日本神道〜』が昭和30年に神社本庁で行われた全国神社総代会結成準備会での演説から始まっているとある。彼の思想が今後にどれだけ活かされる(べき)かは判断できないけれども、この挑発的とでも言うべき論者がこういう場にいたのは時代的なものか興味深い事例と感じました。
『大八洲』本誌としては、4本の文章が掲載されていて執筆者が2名、前回から一年8ヶ月くらい経過しての刊行ということで、結構大変なのかなと思いました。編集後記にはその辺の事情も書いてあって、
それでもこうして意義深い論考が読めるので、ぜひ長く継続していただきたいですね。