「教派神道」研究会(仮)

おおむね近代神道・神道教団について

明治12年の教祖・教主

明治12年明治天皇に献上された『明治十二年明治天皇御下命人物写真帖』という史料が三の丸尚蔵館に所蔵されています。

公職者約4500人の肖像写真が「皇族・大臣・参議」「華族」や「司法省」などの各官省、陸軍・海軍など、いくつもの分類で写真帳に仕立てられているもので、「神官僧侶」というものもあります。

そのうちの「重要人物1000人」(出版社による)が職・家格・爵位などが付されて、刑部芳則編『明治をつくった人びと』(吉川弘文館、2017)として出版されています。

https://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b279174.html

この本のことは以前Twitterで教えてもらってしっていたところで、一昨日くらいに気づいたんですが、写真自体は三の丸尚蔵館のサイトで閲覧可能なんですね。

https://shozokan.nich.go.jp/collection/object/SZK001473

「神官僧侶」篇には、前掲刑部書から漏れた教派の教祖・教主が結構いて、修成派の新田邦光、神習教の芳村正秉、扶桑教の宍野半、実行教の柴田花守、その他錚々たる神道家・国学者の写真が並んでいます。

明治12年ですからまだ特立していない教派もある段階ですね。

他でも見たことのある写真もあるかもしれませんが、こうしてズラリと並ぶと壮観。

他にもいろんな人物の肖像が並んでますので、見てみると面白いですよ。

 

神道宗教学会第77回学術大会(12/2、3)のお知らせ

神道宗教学会第77回学術大会開催のお知らせが出ています。

https://www.shintostudies.org/activ.html#taikai

例によって77回固有のページではないので、1年後に見たら何だこれ、ということになっていると思いますが。

今大会では初日の12月2日土曜に、『社会の復元力と神・まつり~古代・中世移行期と祭礼の発生・展開を軸に~ 』をテーマにシンポジウムが行われます。2日目の12月3日日曜は研究発表で、4つの部会で実に33の発表があるようです。どれも興味深い発表タイトルが並んでいて、どれを視聴するか悩みます。

ブログ管理人も当初は発表で参加しようと考えていたのですが、適したテーマがなくて、考え悩んで結局申し込み期間を過ぎてしまいました。またの機会に!

今回はシンポジウムこそ対面オンライン併用で行われますが、発表はzoom。参加は会員に限るようです。誰でも見聞きできるといいのですが。

研究報告「木曽御嶽本教の設立と講社結集」民族文化研究会関西地区第61回定例研究会

令和5年9月24日に開催された民族文化研究会関西地区第61回定例研究会にて、報告「木曽御嶽本教の設立と講社結集」があったことをついさっき知りました。

(民族文化研究会ブログ記事)

【関西】定例研究会報告 木曽御嶽本教の設立と講社結集

https://minzokubunka.hatenablog.com/entry/2023/11/06/021942

民族文化研究会といえば、会報『大八洲』で毎号、会員の竹見靖秋氏が近代の宗教行政や教派神道について史料を博捜した良質の論考を寄せていることで、教派神道研究・近代神道研究界隈でもよく知られている存在です(サンプルは当ブログ管理人の周辺)。

上のブログ記事も無記名ですが、竹見氏による報告についてのものでしょうか。

報告は、木曽の御嶽神社を中心とする神道教団・木曽御嶽本教の設立経緯を丁寧に追ったもので、各教派に散らばった御嶽系信仰グループの糾合や神道教派との軋轢などとても興味深いものです。

御嶽信仰や御嶽講などは先日の日本宗教学会でも報告を見聞きしたりいろんな方と話し合ったり、ちょうど明治23年刊『神宮官国幣社・皇典講究本分所・神道各教派職員録』掲載の神道本局直轄教会「木曽御岳本教會」って名前近似してるけど木曽御嶽本教と連続性あるんかいな、とか思っていたり(なさそう)してましたし、こういうタイミングというのもあるんだなあと深く感じ入りました。

以前にも同じようなコメントしてるんですが、この民族文化研究会は以前から竹見氏による神道教派や神道教会についての発表や論文をはじめとして注目しているのですが、演題が事前に示されていないのでなかなか聞きたい演題の回を選んで参加というのができないんですね。

この発表も会誌『大八洲』で論文化されると期待しています。そう言えば令和5年号は未だ刊行されてないですね。こちらも楽しみ。

大本から『大本開祖伝−出口なおの生涯−』刊行予告

大本から『大本開祖伝−出口なおの生涯−』が刊行されるそうです。

 

【予約受付中】令和6年2月3日発刊「大本開祖伝 ー出口なおの生涯ー」

https://tenseisha.co.jp/smarts/index/129/#block660

 

全然気づいてなくて、今見たら予約期間も終了してるんですが。

信者のかたはもちろん、大本に興味のあるかた、研究者は必携ですね。

コメント欄に注目

教派神道連合会のサイトhttp://kyoharen.jpにはいくつかのコンテンツがあって、とはいえあまり情報の更新のない動きの少ないサイトなのですが、そんな中でも注目なのが「加盟12教派」です。

その名のとおり教派神道連合会に加盟している12の教団それぞれの紹介ページです。

このサイト、なぜか各ページへのコメントが開放されていて、ヤバいコメントやアレなコメント、丁寧なコメントまでちょこちょこコメントがついています。個人的にはこんなのやめた方がいいのではと思うのですが、各教団の方々が真面目に返信されていて頭が下がります。

たまに覗くと新しいコメントが増えていて、いろいろ面白い情報をもたらしてくれることもあります。

加盟教派のうち、金光教黒住教出雲大社教扶桑教神理教神習教、大本、御嶽教神道大教(順不同)の9教団は公式サイトがあって比較的開かれていますが、それ以外の3教派はどんな活動してるのか全くわからない、ということで貴重な機会ではありますね。

コンテンツ文化史研究会で教派神道に触れる発表があるらしい

10月14日(土)に近畿大学 東大阪キャンパスにてコンテンツ文化史研究会の2023年度例会が開催されるとのこと。

https://www.contentshistory.org/2023/09/29/2073/

 

で、数ある発表のなかでも、13:30~14:00中山 千里 氏「俳優をめぐる「記念」事業の一考察―所沢市北野天神社における左卜全奉納刀剣をめぐって―」という発表において、「ちょこっとだけ教派神道の話も」あるらしいです。

上のサイトからすでに予稿集はダウンロード可能で、発表概要が読めるのですが、神道教派への言及はないので、どんな形で挿入されるのか大変気になります。とはいえ、当ブログ管理人は都合で視聴できず。zoom併用ハイブリッドで非会員でも視聴できるそうです。教派神道に限らず地域神社の活動の話としても非常に面白そうなので、ご興味の向きはぜひご視聴を。

博士論文「社会集団としての教派神道の展開に関する研究」

藤井麻央先生の博士論文「社会集団としての教派神道の展開に関する研究」の要約および審査の要旨が、東京工業大学の機関リポジトリにて公開されているのに気がつきました。

【要約】

https://t2r2.star.titech.ac.jp/cgi-bin/publicationinfo.cgi?q_publication_content_number=CTT100883884

【審査の要旨】

https://t2r2.star.titech.ac.jp/cgi-bin/publicationinfo.cgi?q_publication_content_number=CTT100902892

藤井先生はこの論文にて、博士号を授与されています。