「教派神道」研究会(仮)

おおむね近代神道・神道教団について

地図記号「神社」

国土地理院では、地図記号「神社」について次のように説明します。
「この記号は、神社の参道入口などに立っている鳥居の形を表しています。大きな神社や有名な神社は、注記しています。
神道教会などに所属している建物には、この記号は使いません。」
https://www.gsi.go.jp/KIDS/map-sign-tizukigou-2022jinjya.htm


その一方で、こちらは桜新町の地図。

真ん中に鳥居は、桜神宮。すなわち神道神習教本祠なんですね。
似たような施設はどうかしら、と思って
出雲大社東京分祠

神道大教大教院

扶桑教太祠

などをみて見ましたが、いずれも鳥居無しでした。

日本宗教学会第83回学術大会

2024年9月13〜15日に天理大学を会場に日本宗教学会第83回学術大会が開催されました。
本ブログ管理人も2日目から参加して、個人発表・パネル発表を聴けるだけ聴いてきました。
大会プログラムから、教派神道、近代神道神道新宗教関係の発表題目を下に紹介します。
タイトルで決め打ちしてるのでもしかしたら他にもあったかもしれません。
また、管理人は近代仏教関係の発表も聴いに行ったので、管理人が聴けたものもあればプログラムの都合により聴けなかったものもあり。

平田篤胤キリスト教-『本教外篇』の検討を通して-」服部 直美(東大)
「 「平塚らいてう」をめぐる生長の家の言説」郭 立東(東大)
新宗教の衰退とジェンダー問題-大本の事例から-」熊田 一雄(愛知学院大)
「大正期新宗教と女性の「主体性」 」川瀬 貴也(京都府立大
「教導職と神道教派-制度の視点から-」遠藤 潤(國學院大
アジア主義超国家主義と宗教-道院・世界紅卍字会大本教-」玉置 文弥(京都府立大
「聖地の高等教育と仏教者-旅順高等学校長の川瀬光順-」大澤 広嗣(文化庁
「総力戦下の「宗教弾圧」と再編される聖/俗」永岡 崇(駒大)
「宗教団体法による「宗教結社」統制の具体相と特質」神田 秀雄(天理大)
「新言霊学と近代化、ナショナリズムに関する考察」藤原 友弥(カリフォルニア大)
「統計資料に見る近代の神道-「稲荷講社」の事例から-」青木 涼悟(明治学院高)
新宗教の生成史と神社講社-稲荷講社と金明霊学会をめぐって-」石原 和(同朋大)
金光教高橋正雄における「生活気分」及び「生活者」 」藤井 麻央(大谷大)
「柴田花守「救頭燃談語」の政道論」内田 裕一
「大正期神道実行教の教師と神道奨学会」今井 功一(國學院大
「教会を設置すること-初期天理教において-」澤井 治郎(天理大)
天理教の天啓継承問題の探究-教祖存命の理と茨木事件の再考-」村山 元理(駒大)
「宗教と道徳の間に」田島 忠篤(道徳科学研究所)
「文化資源としての山岳信仰-霊山の文化観光推進-」佐伯 敬史(國學院大
「信仰を継続させるための工夫-宗教者の日記分析を中心に-」髙田 彩(國學院大
新宗教の信仰継承における教団イベントの役割-天理教を事例に-」道蔦 汐里(東京工業大

パネル
『19世紀の神道家にとっての地域と学問』
「史資料収集・国学受容と近世神社縁起」小林 優里(東大)
佐賀藩神職と神学寮」三ツ松 誠(佐賀大)
「近世伊予国で展開した神道説の継承と変容」新田 惠三(皇學館大)
国学者の文献考証と三条教則理解」古畑 侑亮(獨協大
司会:三ツ松 誠(佐賀大)

『近代日本の教化政策と仏教』
「明治期における教化政策の系譜と仏教」谷川 穣(京大)
「三教会同前後における教化政策の転換」松岡 悠和(京都府立大
「大正~昭和前期における教化政策の系譜と仏教」大谷 栄一(佛教大)
「植民地期日本仏教による朝鮮人教化の困難性をめぐって」山本 浄邦(佛教大)
コメンテータ:藤本 頼生(國學院大
司会:大谷 栄一(佛教大)

『“翻訳”をめぐる諸課題について-天理教を事例に-』
「翻訳とは何か-何がどのように翻訳できるのか-」堀内みどり(天理大)
「「みかぐらうた」の「翻訳」と身体-アサドの翻訳論の視点から- 」加藤 匡人(天理大)
天理教ブラジル伝道と教義翻訳の実相-“教祖伝”を事例に-」中西 光一(天理大)
「「異文化伝道」における「翻訳」について」尾上 貴行(天理大)
司会: 堀内みどり(天理大)

録画部会
富士塚とお中道」大谷正幸

斎藤英喜氏の訃報

いざなぎ流・陰陽道研究で知られる佛教大学歴史学部教授の斎藤英喜氏が9月4にくも膜下出血・脳幹出血によりお亡くなりになりました。
https://ameblo.jp/susano-saito/
今年5月に上咽頭癌の治療のため入院されましたが、7月には治療を終え退院されていました。退院後すぐに高知県立歴史民俗資料館でのトークショーをなさったあとコロナ陽性で再入院されていましたが、無事退院され、これから少しづつ日常生活にお戻りになるやにお見受けしていたところです。
近年は「異端神道」をキーワードに、山下文夫・斎藤英喜編『神道の近代 アクチュアリティ問う』(勉声出版、2023)、同編『平田篤胤狂信から共振へ』(法藏館、2023)などで近代神道を問い直すようなプロジェクトをいくつも進めておられ、これらについては本ブログでも取り上げてきました。
謹んでお悔やみ申し上げます。

教派神道研究は「2023年歴史学界回顧と展望」にどれだけ載ったか

『史学雑誌』133編 5号 (2024.6)が刊行されました。もちろんブログ管理人は史学会の会員ではありませんから、その辺の本屋や図書館で見ました。

さて昨年は、教派神道研究は「2022年歴史学界回顧と展望」にどれだけ載ったか- 「教派神道」研究会(仮)
https://kyohashinto.hatenablog.jp/entry/2023/07/01/100000
というエントリーをあげていました。
今回はその最新版「2023年歴史学界回顧と展望」特集号を見てみようという趣向です。
関連しそうな論文は近現代の「思想」と「宗教」に取り上げられているようです。
昨年に続き図書館の立ち読みなので溢れていたらご容赦。
まずは平田篤胤関係の論集の刊行が続きましたので、そこでのものですね。一つは山下久夫・斎藤英喜編 『平田篤胤 狂信から共振へ』(法藏館、2023)、もう一つは『現代思想2023年12月臨時増刊号 総特集=平田篤胤』(青土社、2023)です。どちらも「思想」「宗教」の項で取り上げられていて、存在の大きさを感じさせます。
また、個別の論文としては木村悠之介「新神道とは何であったか−メディア排宗教運動としての雑誌『日本主義』」『國學院大學研究開発推進機構紀要』第15号(國學院大學研究開発推進機構、2023)が注目されるところです。
その他、下村育世「 奈良弘暦者・吉川家の近代−陰陽師の身分喪失と暦師の家業継続」『国立歴史民俗博物館研究報告』240号(2023)も多分こんご教派神道・近代神道に関連して興味深いお仕事だと思います。他にも武田幸也「近代の神宮大麻理解」『神社本庁総合研究所紀要』第28号(2023)や藤本頼生「「国家ノ宗祀」の解釈と変遷について」『神社本庁総合研究所紀要第28号(2023)など近代神道史的に重要っぽい論文も紹介されていました。
ブログ管理人も2023年には宗教史・神道史に関わる論文を書いていて、別に「回顧と展望」に取り上げられるようなクオリティの論文ではなかったということなんですが、ここはひとつ「エポックメイキングな論文だったが史学雑誌がどこに分類すべきか分からなかったために埋もれてしまった」と思い込んで、今年度も張り切って参りたいと思います。

金光教第5代教主金光平輝師帰幽

令和6年7月21日未明、金光教第5代教主金光平輝師が帰幽されたという。

http://web-konkokyo.info/data/n1721544570

師は1934年10月31日岡山県岡山市生まれ。
父であり4代教主であった金光鑑太郎帰幽をうけて行われた教主選挙で選ばれ、1991年(平成3年)から教主に就任。2021年(令和3年)に退任されるまで6期30年にわたって教主を務められた。
8月29日(木)13時30分から本部広前祭場にて本祭が斎行されるとのこと。

RIRCチャンネルで教派神道のニュース解説

井上順孝センター長が宗教関連ニュースを解説する宗教情報リサーチセンター(略称RIRC)公式YouTubeチャンネルの「宗教ニュースを読み解く」で、教派神道に関する話題が取り上げられました。

神道修成派が教主職を新設~教派神道の多様性~「宗教ニュースを読み解く」No. 34
https://youtu.be/8-mFgGIkE2A?si=0Ar11dFeN5rsM8dd

(概要欄から転載)
2024年3月6日、神道修成派は管長職に加え新たに教主職をもうけ、新田純子氏が初代教主に就任しました。神道修成派は新田邦光により戦前の神道十三派の中で黒住教とともにもっとも早く一派特立しました。十三派はかなり性格が異なりますが、その中で禊教と実行教に焦点を据えて、どのように形成され展開して現代に至っているかを國學院大學日本文化研究所共同研究員の荻原稔氏と今井功一氏をゲストに迎え説明してもらっています。
荻原氏は井上正鐡を教祖とする禊教の研究をライフワークにしており、今井氏は富士信仰に基盤を持つ実行教の活動を調べています。井上順孝センター長が神道修成派教派神道全体の概要を説明したのち、二人から禊教と実行教の特徴について説明してもらっています。