「教派神道」研究会(仮)

おおむね近代神道・神道教団について

神道大教四本木稲荷神社「跡地」探訪

北区王子の地に鎮座してきた神道大教四本木稲荷神社が、令和8年7月16日に遷御の儀をおこない、麻布の神道大教院に遷座されました。
当ブログ管理人は残念ながら参列できなかったのですが、月末から解体が始まってしまうという境内を見学してきました。
非常にひろい境内でしたが、跡地にはマンションが建ち、神社は3年後にはこの一角に戻ってくるとのことです。




元々陸軍工廠にあった神社ということで、軍事関係のものは北区飛鳥山博物館のほうで保存されるとかなんとか。

シンポジウム「加藤玄智の神道理解とその方法」

2026年7月18日國學院大學常盤松ホールで行われた、明治聖徳記念学会・國學院大學研究開発推進センター共催シンポジウム「加藤玄智の神道理解とその方法」を見学してきました。
開催概要は下のとおり。
日時:令和8年7月18日(土)13時~17時
場所:國學院大學渋谷キャンパス
   学術メディアセンター1階常磐松ホール
基調講演:島薗 進(東京大学名誉教授)
コメント:菅 浩二(國學院大學神道文化学部教授)
     遠藤 潤(國學院大學神道文化学部教授)
     木村 悠之介(東北大学特任研究員)
司会:櫻井 治男(皇學館大学名誉教授)

戦前に宗教界で東京帝大教授として大きな存在感を示し、国家神道言説を牽引した宗教学者・加藤玄智が
加藤玄智が設立した明治聖徳記念学会では、加藤玄智没後60年記念ということで2025年から公開講座などを企画していて、今回は締めくくりにあたる第三回ということです。
前川理子先生の加藤玄智論を下敷きにしながら、各先生方から加藤の神道理解について多角的に論じられました。
加藤が論じた「国家的神道」と「宗派的神道」にも焦点があたり、いわゆる国家神道と教派神道のあり方についても具体的な議論が展開されました。
フロアからの質問鋭く、長時間ながら充実したシンポジウムでした。

日本宗教学会第85回学術大会プログラム公開

2026年9月11日〜13日に東北大学川内キャンパスで開催される日本宗教学会第85回学術大会のプログラムが公開されました。
以下、近世・近代の宗教史のうち当ブログの興味と関わりのありそうな発表を抜粋してみましょう。直接十三派に関係しそうなものは太字表示しましょうか。

第3部会
9月12日
パネル
13:30-15:30 日本における暦と近世・近代宗教史 代表者: 岡田 正彦
日の吉凶の選別と天文地理の学知-西川如見を中心に- 馬場真理子 (国立歴民博)
平田篤胤における古暦探究 林 淳 (東洋大)
近世における梵暦学の隆盛と近代仏教 岡田 正彦 (天理大)
明治改暦と神社例祭日の再編 下村 育世 (青森公立大)
コメンテータ: 中牧 弘允 (国立民博)
司会: 岡田 正彦 (天理大)

第4部会
9月12日
5. 10:40-11:00 笠間稲荷神社における地域振興と展覧会事業 江原 知華 (大正大)
7. 11:30-11:50 霧島山天逆鉾をめぐる薩摩の信仰と平田篤胤の神学 相澤みのり (佛教大)
8. 11:55-12:15 過渡期の不二道教主理性院行雅 内田 裕一
9. 12:20-12:40 式内社顕彰思想の変容-十七世紀日本の復古思想と自国意識- 井上 智勝 (埼玉大)
9月13日
9:00- 9:20 近代における神話的場所の形成-黄泉平坂伝説碑の成立を通して- 武田佑希子 (北海学園大)
2. 9:25- 9:45 戦時期東北の神仏闘争-福島の安藤国重と山形の角張東順- 木村悠之介 (東北大)
3. 9:50-10:10 戦間期・戦中における「迷信の打破」と奇術師の活動 伊藤 優(駒大 )
4. 10:15-10:35 近代における神社の地域教育-乃美学舎の事例から- 斉藤 弘樹 (広島国際大)
6. 11:05-11:25 神道三穂教会における安産儀礼について 並木 英子 (国際基督教大 )
7. 11:30-11:50 モノに重層する歴史的時間-寺社への奉納物にみる近代の戦争- 原 英子 (岩手県立大)

第5部会
9月12日
3. 9:50-10:10 修験道研究の誕生-和歌森太郎と村上俊雄の 1943年- アントニオ・フェルナンデス=カロ (東北大)
5. 10:40-11:00 日本統治下台湾における敬神思想と教化-正庁改善運動を中心に- 原田 雄斗 (早大高等学院)
7. 11:30-11:50 植民地の巫女と帝国の神道-明道会の事例に注目して- 朴 海仙 (立命館大)
8. 11:55-12:15 天理教の分教会所設置のいきさつ 澤井 治郎 (天理大)
9月13日
1. 9:00- 9:20 明治期の反キリスト教運動-両全教社を中心に- 小前ひろみ (大正大)
2. 9:25- 9:45 松山高吉における神道とキリスト教 藤原 直美 (東大)
8. 11:55-12:15 近代日本における宣教師メディアの神道言説 佐藤 教通 (國學院大)

第6部会
9月12日
5. 10:40-11:00 近世真言宗僧の陰陽道観-音利房盛典を中心に- 小池 淳一 (国立歴民博)
9月13日
1. 9:00- 9:20 聖徳太子講の総合的考察-信仰から芸能・地域社会へ- 杉浦 敏治 (愛知学院大)
2. 9:25- 9:45 仙台藩と土御門家 太田俊明
13:30-15:30
パネル
日本の近現代の巡礼から「衰退」の言説を再考する 代表者: ケイレブ・ カーター
明治時代における太宰府天満宮の参詣講の断絶と再生 ヤン・ハウスマン(九大)
近代の誕生、現代の復活-「聖地巡礼」現象の構築過程を中心に- ラディティ ヤ・ヌラディ(国立歴民博)
御嶽山における持続可能性の模索-御嶽講と現代登山の共存- 小林奈央子 (愛知学院大)
文化財は巡礼の衰退の原因?-千社札の事例をめぐって- ケイレブ・カーター(九大)
コメンテータ: 浅川 泰宏(埼玉県立大)
司会: 小林奈央子 (愛知学院大)

第7部会
9月12日
5. 10:40-11:00 寺院付属教会講社と宗教活動 石原 和(同朋大)
9. 12:20-12:40 江戸における流行神出現とその背景-日蓮宗の守護神を中心に- 望月 真澄 (身延山大 )

第9部会
9月12日
1. 13:30-13:50 公共領域における「潜在的宗教性」-天理教里親養育を例に- 青木 繁(東京科学大)
2. 13:55-14:15 「聴きだすけ」と「話一条」-天理教の布教についての一考察- 堀内みどり (天理大)

第10部会
9月12日
4. 10:15-10:35 教祖伝文学の研究に向けて-宗教学的先行研究を踏まえて- 坪井 俊樹 (東大)

録画部会
第4チャンネル
2.大正期霊術(精神療法)における明治天皇御製の利用 平野 直子(早大)
4. 小堀鞆音の厳島関係画題における神社空間と宗教的権威の可視化 小堀 馨子(帝京科学大)

こんなところでしょうか。近代仏教関係でも面白そうなものが並んでいますが、とりあえず教派神道に関係しそうな近世近代の神道関係の発表を中心にという感じでピックアップしてみました。
いずれの発表も面白そうなので、当日はいろんな部屋を行ったり来たりすることになりそうです。
なお、当ブログ管理人も発表で参加しますが、教派神道とは無関係の発表をしますので、ここには挙がっていません。

「2025年の歴史学界 回顧と展望」のなかの教派神道研究

毎年の教派神道研究関連業績については、年末に当ブログでまとめております。
関連する研究領域に目を向けると、歴史学の世界では東大史学科を母体とする史学会の機関誌『史学雑誌』で、毎年「〜年の歴史学界 回顧と展望」と題して、1年間の研究動向を振り返る(分野ごとの主要な業績を列挙する)企画を行なっており、6月下旬発行号がその特集号となっています。
他分野における教派神道研究関連業績の位置付けを知ることができる材料と言えるでしょう。
このブログを始めてから、この「回顧と展望」に教派神道研究業績がどれくらい載ってるのかを探し出して記事にしたことがあるんですが、去年とかふつうに忘れてました。
さて、当ブログ管理人は史学会員ではないので、『史学雑誌』は書店での立ち読みか図書館で閲覧で済ますということになります。買えよと思われるかもしれませんが、4,070円なんて、高い高いと言われていたお米が5kg買えちゃうじゃないですか。さておき、近くの公共図書館に入っているので大変重宝いたします。ただし、装備(図書館の本を貸し出し可能にするバーコードやラベル、タグ付けなどの作業)が終わってからでないと配架されないため、閲覧までには刊行から少し時間がかかって今日。
ようやく閲覧できたので、教派神道ひいては近代神道に関連する業績を探し出してみましょう。まあ何が「関連する」かは管理人しだいなんですけどね。
方法論や古代中世とは直接はアレな分野なので近世と近代のそれぞれ該当部分を見てみましょうか。(2026/7/5注・当記事アップ当初、ここに執筆者の先生を記載していたのですが、別の先生のお名前を書いてしまっていました。お詫びして当該記述を削除します。)

近世では教派神道・扶桑教や実行教に関連する「富士講」が立項され2論文が並んでいるのが目を惹きます。

  • 大谷正幸「富士行者・食行身禄が遺した依頼をめぐって–最晩年の掌編群と四つの箱」『宗教研究』412号
  • 内田裕一「柴田花守の富士信仰改革に関する著作」『佐賀大学地域学歴史文化研究センター研究紀要』19号

近代では、神道に関する単行本がならんでいます。

  • 渡勇輝『柳田國男と大正期の神道』

栄養学を作った佐伯の思想に黒住教が影響していることを指摘しているという↓も意外なところですね。

  • 上田遥『日本栄養思想史 佐伯矩の生涯と近代栄養学』

また、直接教派の話はないでしょうが面白そうなものとして、↓も気になります。

  • 林義大「明治期における法人制度と寺院・神社」『九州史学』201号

こんなところでしょうか。直接教派の話はわずかでしたね。
管理人ですか?あまりに独創的に学術研究を進めているために、史学会が恐れをなして取り上げないんですよ。

ながいけん『神聖モテモテ王国』より

井上順孝『増補 教派神道の形成』(法藏館、2026)

以前に本ブログでその古書価の高騰を嘆く投稿をしていた井上順孝『教派神道の形成』(弘文堂、1991)が、この度『増補 教派神道の形成』として「補遺 教派神道研究の展望」を加えて法藏館から復刊されるとのこと。
各教派の教祖の思想や教団のあり方を高杯型モデル・樹木型モデルで分析した本書は長らく版元品切れでした。教派神道の研究にあたって最初に触れるべき基本書だと思いますから、この復刊は大歓迎です。すでに旧版を読んだ者としては、増補された「教派神道研究の展望」でどのような展望が示されるか大変興味深いですね。
SNSでは毎年の國學院大學博物館での教派神道展示が多くの関心を得ていますし、話題になるべき一冊です。
せっかく法藏館なら法蔵館文庫でーと思ったのは包み隠さぬ本音。12,000+税というお値段ではありますが、ひろく多くの人の手に渡って欲しいと思います。
(↓写真は旧版)

金光教六代教主再任

金光教の教主は選挙で選ばれることになっており、一期5年の任期を勤めます。今回2021年に一期目の教主に就任した金光浩道師の任期満了に伴う金光教主選挙が行われ、金光浩道師が六代教主に再任、14日には浅口市金光町の本部で就任式が執り行われました。
全国から就任式に集まった信徒は約4,000人とのこと。
地元山陽新聞で報じられています。
https://www.sanyonews.jp/article/1937938

当会(仮)巡見「教派神道展」見学会

2026年6月4日16時から、当会巡見企画として、國學院大學博物館で開催されている「令和八年度教派神道展」の見学会を実施しました。会期は6月7日(日)までということなので結構ギリギリでしたね。直前にTwitter(現X)で声かけをして、参加者は総勢4名(懇親会は5名)。
教派神道連合会あるいは個別の教派の協力による「特集展示」で、毎年6月に開催される教派神道連合会の教師向け研修会である神道講座に合わせて会期が設定されています。
毎回、教派神道における何かをテーマにしており、タイトルも「教派神道のナントカ」みたいな感じなんですが、今回はズバリ「教派神道展」。で、テーマはないのかというとこれがありまして、「江戸時代後期の黒住教」と「教派神道と祈祷」の二本立てとなっております。中世から近世にかけての展示に組み込まれた黒住教の資料をはじめ、黒住宗忠の真筆や幕末の公卿の書など7点と、5つの教派の祈祷に関する資料をひとつひとつ丁寧に拝見して、展示室で実に1時間すごしました。そのあと建物一階のロビーで延長戦として展示に関連して1時間あれやこれやと語り合い、さらに場所を変えて懇親会と、大変充実した見学会となりました。いやあ教派神道に詳しいメンバーと一緒に見るとさらに面白いですね。
当日参考資料を作ったんですが、PDFファイルだったので見づらかったですね。気が向いたらどこかにアップするかもしれません。