『史学雑誌』132編 5号 (2023.6)が刊行されました。もちろんブログ管理人は史学会の会員ではありませんから、その辺の本屋や図書館で知るのですけれども。
さて、教派神道研究は「歴史学界回顧と展望」にどれだけ載るか - 「教派神道」研究会(仮)というエントリーを2022年12月23日にあげていました。今号はその「2022年歴史学界回顧と展望」特集号です。答え合わせというわけではないですが、教派神道研究に関わる業績は歴史学界に回顧されていたでしょうか。
関連する項目は「近現代」の「思想・宗教」で、執筆は弘前大学の大谷伸治先生です。この項目に限らず言及するジャンルは多岐にわたり、思想と宗教に大別したうち宗教だけでも神仏基にはじまり心霊系、新宗教など限られた紙面でギチギチに紹介されています。
そんななか、「「国家神道」の統制的なイメージを実証的に覆す研究が進む」とする神道に関するものでは4点が取り上げられていたと思いますが、教派神道研究に絡むものとしては、「明治期の国家による宗教政策を主体的に捉え返した動きを丁寧に追った」として、相澤みのり「平田国学の明治:平田胤雄と本教教会をめぐって」『佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇』50と藤井麻央「明治期の黒住教からみた教派神道の展開」『宗教研究』96(1)の2点が挙げられていました!神道に関してはこのほか平山昇「運動する宮司」論文と渡勇輝「日露戦後における「神社」論の展開とその批判 : 柳田国男「塚と森の話」を中心に」の2論文へのコメントが掲載されています。さすが相澤みのり先生と藤井麻央先生のおふたり!手堅い実証的なご研究で、まさに2022年の顔の論文だと思います。
え?誰かさんも「宗教政策を主体的に捉え返した動き」を研究発表してたんじゃないかって?レベルが違うんだよ!
(追記)一度アップした直後、大本研究の玉置文弥先生の2論文「「宗教統一」とアジア主義」(『宗教と社会』二八)と「大本教人類愛善会・道院世界紅卍字会の”融合”と「満洲」」(『東アジア近現代世界の諸相』)も「東アジアー中国近現代ー日中戦争前後ー社会・文化」の欄(執筆者は慶應義塾大の菅野智博先生)に取り上げられているのをご本人のFB投稿で気づきました。お詫びして追記いたします。しかし、お一人で2本とはすごい!