「教派神道」研究会(仮)

おおむね近代神道・神道教団について

道蔦汐里「新宗教の死者儀礼における「借用」「文脈化」「独自化」ー天理教の葬儀を事例にー」『儀礼文化学会紀要』第11号(2023)

全然気づいていなかったんですが、道蔦汐里「新宗教の死者儀礼における「借用」「文脈化」「独自化」ー天理教の葬儀を事例にー」『儀礼文化学会紀要』第11号(2023)という論文(掲載区分は研究ノート)が刊行されていました。慌てて図書館にてコピーを入手。

天理教の祭式については、神道教派として特立する際の制定、教祖五十年祭立教百年祭の独自化、国家非常時体制のための神道化、終戦後の「復元」と、明治以降何度か大きな改変があった。そのなかで、著者は、特に葬儀を例に構成や手順、式文などにおいて神道の形をそのまま借りているもの、神道の形ながら天理教的な意義付けをされているもの、天理教独自の形が取られるもの、に分類する。葬儀は天理教の諸祭儀のなかでも天理教的な意義付けが希薄で「復元」運動からは切り離され、総じて神道的ではあるが、それでも天理教らしさが入り組んでいるという。

非常に勉強になる論文でした。ぜひご一読を。

神葬祭は戦前の教派神道アイデンティティの主なとつであり、どのような祭儀が行われていたのか、独自性とは、何を持って神道的とするのか様々な論点があってとても面白いテーマですね。