伊藤聡・斎藤英喜編『神道の近代 アクチュアリティを問う』アジア遊学280(勉誠出版、2023)
伊藤聡・斎藤英喜編『神道の近代 アクチュアリティを問う』アジア遊学280(勉誠出版、2023)が刊行とのことです。
https://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&cPath=2&products_id=101375
「近代」と「神道」ということで、大変興味を惹かれます。綺羅星の如き大充実の執筆陣ですねー。
当ブログの興味でいうと、目次を拝見する限り神道教派それ自体がテーマの論考は収載されていないようです。神道教派について調べているせいなんですが、少なくとも明治のある時期には「神道」といえばそれは教派神道のことを指していたのであり、このところ個別教派に止まらない形で教派神道の研究が盛り上がっているようにも感じていますし、ちょっと寂しいですね。いや、ちょっと前に井上順孝『神道の近代: 変貌し拡がりゆく神々』(弘文堂、2021)が出て、「教派神道」「神道系新宗教」を題材に近代神道の「B面」から広く近現代神道について論じてたじゃん、とか聞こえてこないではないですけど、まあそこは本の性質も違いますし。でも個別の教派がタイトルに見えないからといって全く無関係なわけではないでしょうし、それとは別に興味深い本であることには違いないですね。
以下に目次を転載します。
[はじめに]「神道の近代」―あらたな知の可能性へ 伊藤聡・斎藤英喜
Ⅰ 近代の国家と天皇祭祀・神社
天皇祭祀の近代 岡田莊司
「勅祭社」靖国神社―招魂とその祭神への変換 岩田重則
神武天皇説話の近代におけるその発見と変容―美々津出航伝承とおきよ丸 及川智早
[コラム]近代神社の「巫女」をめぐって 小平美香
Ⅱ 国体神学と国民道徳論
戦前日本における神社の社会的イメージの形成過程―明治末・小学校長永迫藤一郎の神社革新論をてがかりに 畔上直樹
国体明徴運動と今泉定助 昆野伸幸
日常生活から国家の秩序へ―筧克彦の「古神道」「神ながらの道」 西田彰一
植民地朝鮮における国家神道―檀君をめぐる「同床異夢」 川瀬貴也
近世の神話知と本田親徳―親徳による篤胤批判の意味 山下久夫
中世神道と近代霊学―その接点をもとめて 小川豊生
異端の神話という神話を超えて―『霊界物語』読解のための覚書 永岡崇
明治二十年代の神道改革と催眠術・心霊研究―近藤嘉三の魔術論を中心に 栗田英彦
Ⅳ 学問としての神道
神道学を建設する―井上哲次郎門下・遠藤隆吉と「生々主義」の近代 木村悠之介
[コラム]今出河一友の由緒制作と近代における率川神社の由緒語り 向村九音